   
|
|
  |
超低出生体重児とは出生体重が1000g未満の児と定義されます。現在数人の超低出生体重児の治療管理をしています。そのような子どもたちが何の障害も残さず大きくなることを日々願い、治療にあたっています。しかし、現実としてあまりに小さいと生存そのものが難しい時もあります。1998年6月号、PEDIATRICS Vol. 101 No. 6 のアメリカテキサスでの超低出生体重児の生存率についてのペーパーをリンクしました。興味のある方はご覧下さい。
PEDIATRICS Vol. 101 No. 6 June 1998 975-978
Actuarial Survival in the Premature Infant Less Than 30 Weeks' Gestation
30週未満の早産児の予後統計
Timothy R.Cooper, MD*;Carol L.Berseth, MD*;James M.Adams, MD*;and Leonard E.Weisman, MD*
目的:入院から退院までの生存したという事実は、必ずしも退院後の未熟児の未来を両親や医療関係者に保証するものではない。我々は、30週未満の早期産児を対象とした、乳児期以降の余命について調べた。
研究方法:1986年7月から1994年12月までの、Baylor Affiliated Nurseriesに入院した、在胎23週から29週の早期産児を対象とし、出生体重は100 gごと、在胎週数は1週間ごとに分類し統計した。
結果:出生時体重501gから600gまでの群では、出生時の生存率は31%であり、日令7の時点で61%、日令28には生存率は75%と日を追うごとに改善した。出生体重901〜1000gでは、それぞれ88%、94%、98%と全てに対して改善した。在胎週数で分類したものも、同様の結果結果が得られた。
結論:超未熟児においては、生後数日の間が最も劇的に生存率が変化すると言えるが、それを過ぎた後でも少なからず死の危険があるということである。
|
|
24/oct
|
Neurotrophic electrode
|
  |
ブレインストームと言う映画ご存じでしょうか、脳内にチップを植え込んでマウスをコントロールするサイバーな話が少しずつ実現しているようです。ページを翻訳してみました。
EMORY NEUROSCIENTISTS USE COMPUTER CHIP TO HELP SPEECH-IMPAIREDPATIENTS COMMUNICATE原文
EMORYの脳神経学者による発語不能の患者との意志疎通のためのコンピュータチップ使用翻訳バージョン
|
10/oct
|
Medical treatment & computer
|
  |
9月27日の少し触れましたが、医療とコンピュータの関わりの一つである、医事オーダリングシステムについて現状での問題点を自分なりにまとめて見ました。少し長いので別のページにました。
|
  |
98年夏に発生した、エコーウイルス30型感染症のウイルス分離状況について。
今年の夏は、ちっとも夏らしくありませんでした。もう一つの感想として無菌性髄膜炎が多かったなぁと思います。東京都練馬区の定点の(小児科、一施設)エコーウイルス30型の検出件数の推移をグラフにしてみました。一つのポイントが一人を示し、一週間ごとの集計になっています。ピークは6月第4週で、7月中に収束していったのがよく分かります。
検出総数はエコーウイルス30型だけで71検体ありました。ほかに夏間に検出されたウイルスは下のような物がありました。
|
fig.1 平成10年度エコーウイルス分離状況(平成10年3月〜平成10年8月15日) n=71
|
アデノウイルス1型
|
エコーウイルス18型
|
アデノウイルス2型
|
|
アデノウイルス3型
|
コクサッキーウイルスB1型
|
アデノウイルス4型
|
コクサッキーウイルスB5型
|
アデノウイルス5型
|
|
アデノウイルス6型
|
|
|
27/sep
|
an electronic chart
|
  |
医療とコンピュータの話題で最近特に身近で問題となっているのが、医事オーダリングシステムです。これは電子カルテとも違うのですが、これまで伝票でやってきたいろいろな治療オーダーや、検査、処方箋などをコンピュータ化する事で、発生源入力を可能とし、省力化を押し進めようとするものです。
ところが、これが使いにくく、手間がかかるので、やたらと不評です。テーマとしては面白いので、機会があるごとに取り上げて行きたいと思います。はじめに自作の病歴システム(ファイルメーカープロ上のデータベース)を紹介します。
|
  |
まえに触れた「病院内での電波障害」について、最近リファレンスを見つけたので、あげてみます。
|
  |
骨年齢算定シートをバージョンアップしました。ボタンと画像のずれを少なくしたり、画像を増やしました。
日本人小児骨年齢計算
|
  |
手根骨の形状をクリックしていくと、骨年齢を算定するシートを作ってみました。Javascriptで書いてあるので、ローカルファイルにダウンロードしても使えるはずです。まだ男子用しか作っていませんし、未完成ですが、ご意見当あればどしどしメール下さい。骨年齢に関して、カスタムアプリはありましたが、今ひとつ本をみながら入力するしかなく、直感的ではなかったので作ってみました・・・非常な力技的スクリプトになってしまい、配列が1000ぐらいありますのでブラウザのメモリ割り当てを増やしてから開いて下さい。 あまりにも重いので、画像無しも計画しています。
日本人小児骨年齢計算
|
  |
病院内部での電波障害について
電波を使用する機器
|
- モニター子機類
- 心電図モニター
- 呼吸心拍モニター
- パルスオキシメーター
- ポケットベル類
- Dr.コール用
- ナースコール用
- ナースコール連動PHS類
|
電波で異常をきたす可能性のある機器
|
- 輸液ポンプなど
- シリンジポンプ
- 輸液ポンプ
- エピドラ、CSIIなど
- ペースメーカー類
- 人工呼吸器
- 特に構造が単純なもの
- モニター各種
- 各種検査機器
- 脳波計
- 心電図計
- 筋電図
|
あまり思いつきません。小児科病棟ではこんなものでしょうか。ただ、小児病棟にはシリンジポンプがたくさんあります。最初に携帯電話が問題になった事件はこのシリンジポンプが電話機で異常を来したことが、きっかけだったと記憶しています。きた小児科病棟のシリンジポンプはおそらく、血液免疫科、ICU、CCU、救命救急などとならんで、たくさん使うと思います。でも、最近ナースコール連動型のPHS子機が病棟に導入されました。前からPHS程度の電波なら大丈夫と言われていたような気がしますが、やはり病棟内で携帯電話を使うこと自体、モラルという意味で禁止しているでしょう。
|
11/aug
|
complication of measles
|
  |
麻疹の合併症でもう一つ、治療に難渋するのがARDSです。 入院してきたはしかの子供が、はしかが治ったと一安心している時期に、じわぁっと始まるのがARDSです。そう数は多くはないのですが、そうなったら持久戦に入るので、本人も、親も、医者もみんなつかれきってしまうのが実状です。
|
  |
盆休みにむけ、病気のほうもやすみに入ったかと思わせるように、これといった感染症の流行はないようです。しかし、先週、今週と2名ほど麻疹に罹患した子供を診察しました。大変気になるところです。
麻疹;「はしか」の別名で非常にメジャーな病気です。しかし、世の中この「はしか」を甘く見ている親御さんたちが多いように感じて大変心配です。ほんの十年ほどまえまで「痘瘡は器量定め、麻疹は命定め」という言葉が行き渡り、おばあちゃんたちの時代には「はしか」は大変恐れられていました。予防注射が行き渡った最近は、罹患する子供の数も減少し、その怖さはあまり認識されていないように思われます。しかし、忘れてならないことに現在でも麻疹に罹患した場合治療法は原則的にないということです。たしかにγグロブリンの大量療法などの治療法などありますが、原則的に咳が出たら咳止め、熱が出たら解熱剤、中耳炎になったら抗生物質といった対症療法が主体となるわけです。
しかし、麻疹で命に関わることといったらやはり、麻疹脳炎でしょう。脳炎を合併するとその治療法に苦慮することが多くあります。ではその脳炎の頻度はどのくらいでしょうか。清書を見ると脳炎の頻度は麻疹罹患の1000人から2000人に一人であるといわれています。しかし、平成9年の東京都のある地域での報告ですが、140人の麻疹罹患者の発生が数ヶ月の間に集中し、このうちの1人が亡くなったそうです。この一人は1才以下であったということにも注目すべきかもしれません。この時の140人のうち、40人が1歳以下だったそうです。1歳以下といえば麻疹の予防注射を接種する前の子供たちであったわけです。
このことからも、「はしか」にかからないようにするためには、予防注射も一つの方法ですが、「はしか」を家に持ち込まないようにする努力が必要であるということです。すなわち、保育園などに通うようになった社会性のある子供たちの「予防」を徹底して、家族内での感染を防ぐことも重要であると考えられます。
さらに、麻疹にはSSPEという病気があります。この病気忘れたころに出現する質の悪いものですが、私の友人が詳しく研究しているのでそちらに譲りましょう。
|
  |
エコー30ウイルスによる髄膜炎の流行についての続報です。本日約80検体に及ぶウイルス培養の結果が帰ってきました。統計処理はまだですが、6月20日ごろから20人以上連続して髄液からエコー30が検出されました。一名だけコクサッキーA9ウイルスが髄液から分離されましたが、そのほかの無菌性髄膜炎の髄液検体からエコー30が分離された結果となったわけです。 ウイルス分離は保険がきかないため、通常は2万円ぐらいの検査費用がかかってしまいます。患者さんの家族に結果が1ヶ月もかかる2万円の検査を勧めるのにも気が引け、なかなか検査に出せないのが現状でした。今回の検査はすべて費用を患者さん負担にしないようにして行いました。大変だったなぁ。
|