macintosh
Vol.98
26/Jun 2002
17/Dec 2002 (mod)

FireWire DEAD

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248_ PowerBook G4 DVI FireWire port
248_ PowerBook G4 DVI FireWire port

FireWire Portトラブルに関してラトックシステム社の詳細な解析が公開されている

Appleの設計に問題があり、バスパワータイプのFireWireデバイスを活線挿抜すると、FireWire PHYであるTSB41AB1が破損する危険性があるという。

PowerBook G4 DVIの基板をみると、問題のバスパワー供給回路部分に偶然、カプトンテープが貼られていた。まるで、ベールで隠されているようだ。

249_ FireWire cable power source

PowerBook G4の場合、負荷がなければ約17Vから12Vのバスパワーが出力されている。この回路はMOSFETでスイッチングされ、逆流防止ダイオードを通過し、自己復帰型ヒューズ(polyswitch)、フィルタなどを介してFireWireコネクタにつながる。

図ではその一連の部分を示した。ラトック社が解析してくれたのは、逆流防止ダイオードとpolyswitchの間から、3.3Vレギュレター用に配線があるということ。これはPowerBook本体の電源が切れていても、FireWire PHYの電源を外部バスパワーで駆動し、リピーター機能を生かすためと説明されている。

バスパワーはDeveloper Noteでも明記されているように、「非定電圧電源」であり、ケーブルの抜き差しで電圧が大きく変動する。ラトックシステム社は抜き差し時のノイズがFireWire PHYを破損する可能性があると示唆している。

249_ FireWire cable power source
250_ 3.3V Step-down DC-DC converter and ESD chips

250_ 3.3V Step-down DC-DC converter and ESD chips

PowerBookのマザーボードは多層基板であるため、表面を見ただけではどのように接続されているかはわからない。

近くにある3.3V供給用のDC-DCコンバーターと、図の黄色で囲ったバスパワーソースとの間に、直接の結線は見あたらなかったが、その間にMOSFETなどのスイッチ回路を経て結線されているのは想像に難くない。その距離は1cm離れていない。

ラトック社が観測したFireWire信号線の電圧変動を説明するには、スパイクがDC-DCコンバーターの処理能力を超えてTSB41AB1(FireWire PHY)に流れたと考える。DC INに隣接する二つのコンデンサの容量不足なのか、DC-DCコンバーターの追従が悪いのか。それともfilterの性能不足なのか。疑問はつきない。

またPowerBook G4 DVIには同社が指摘するようにESD保護回路が付加されている。優れた回路特性が必要だという。

251_ PowerBook G4 Gigabit Ethernet (original)

PowerBook G4 Gigabit Ethernetのオリジナルマザーボードである。部品配置は若干異なり、逆流防止用ダイオードやPower MOSFETは基板裏に配置されている。FireWire PHYは24.576MHzのクリスタルと逆流防止用ダイオードの間の、表側に配置される。

FireWireのバスパワーラインのチップフェライトビーズなど、ノイズ対策部品が整然と並んでいるのが確認できる。

PowerBook G4 DVIにあったESD保護回路は認められない。

251_ PowerBook G4 Gigabit Ethernet (original)
252_ modified FireWire Port

桝屋氏が6月23日には存在せず、25日に初めて確認したという対策ロジックボードの写真を送ってくれた。その日3枚の対策ロジックボードを目撃したという。この写真を見るとApple社の今回の問題についての対策と、解釈が理解できる。

青いジャンパ線と端子付近にチップが増設されている。この配線は何を意味するのか。次に拡大写真を示す。

252_ modified FireWire Port
253_ close up modified FireWire Port

ポート付近の拡大写真である。注目して頂きたいのは4つのパーツが積層されているということ。初めはMOSFETと思っていたが、読者から、これは二つのダイオードが集積された物ではないかと指摘を受けた。

各信号が定格を超えた場合、GNDとVddに逃がすことで、外来ノイズをFireWire PHYに流さないようにする保護回路であると予想されるわけだ。これはラトックシステム社がPowerBook G4 DVIで改良されていると指摘しているESD素子と同じ役目を果たしていると思われる。

さらに棉乃木氏によると、FireWireなどの高速シリアルインターフェース用ESDチップ自体は大変新しく、たとえばNECのリリースノートの日付を見ると初期のAppleの基板にESD保護回路がないのは仕方がないのではないかと指摘を受けた。

253_ close up modified FireWire Port

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使用状況 問題ない     故障した     二回以上故障した

Privacy and Security Policy

 故障事例 53/131

 故障集積事例 13/131

 正常事例 59/131

故障してしまった場合、起動ができなくなるケースがあります。FireWireを使用していて、アイコンパレード中にフリーズしてしまう場合、FireWire関連の機能拡張書類を使用停止にしすれば、起動できるという報告があります。


FireWireインターフェースは高速で、ケーブルも細く、電源供給もできるため大変便利です。太くて堅く、大きなコネクタのSCSIと比べると、電源を入れたままの抜き差しが可能なことはそれまでの常識を覆すものでした。基調講演でSteve Jobs氏が小さな赤いハードディスクを抜き差ししたパフォーマンスはとても印象に残っています。

一方、アップルのディスカッションボードなどで突然FireWireポートが故障し、使えなくなるというトラブルが報告されていました。私の身近でも、バスパワータイプの小型ハードディスクを使用中に、FireWireポートが認識しなくなり、結果としてピックアップ修理を受けマザーボード交換となったユーザーが何人かいました。

故障の原因が接続したFireWire機器側にあるのではないかと思い、情報を収集していましたが、バスパワータイプの製品であるという以外、これといった

共通点はなく原因が不明でした。その問題に関し、重要な調査結果を公開してくれたのが、ラトックシステム株式会社でした。

トック株式会社はその冒頭で、独自の見解に基づくものであり、アップル社に問い合わせしないようにと書きながらも、詳細にMacintoshの本体側FireWire Portに設計上の不具合があるのでないかと指摘し、電源を入れたままのFireWireの抜き差しを避けるようとしています。

Macの本体標準のFireWireポートのご使用に関して

これは本体の電源を入れたままFireWireポートを差し込むと、そのときに発生するバスパワー系統に生ずるノイズが、マッキントッシュ本体のFireWireインターフェースに悪影響を及ぼし、時に故障を起こすのではないか。というものです。PCノートでFireWireを搭載するものも比較し、このノイズの影響が観測されず、マッキントッシュに

のみ見られることから、設計に問題があるのではないかと示唆しています。

また、このノイズの伝達経路に関しても考察を述べています。マッキントッシュ本体側の電源が切れていても、リピーター機能が作動するように、外部バスパワーから供給される電源を利用する回路を経由して、FireWire PHYにノイズが伝わっているのではないかというものです。

ラトックシステム社は、自社のFireWireインターフェースカードや、PCノートのハードウェアでは、FireWire PHYの電源とバスパワー回路は分離されているため、こうしたことは起こらないと説明しています。Target Disk Modeで外部ドライブになる場合もあるマッキントッシュ特有の回路なのでしょうか。

249_ FireWire cable power sourceに、実際のPowerBook G4 DVIの基板を示しました。PowerBookの場合、12Vから17Vの非定電圧電源としてバスパワーが用意されています。0.5A


以上の過電流を防止する自己復帰型polyswitchと、外部からの電流が本体内部に逆流しないようするダイオードにはさまれた部分から、TSB41AB1のCPS(cable power sense)への結線も確認できました。この部分に隣接し、基板の裏側を観察すると、250_ 3.3V Step-down DC-DC converterがあります。おそらくこのダウンコンバーターからTSB41AB1に電源が供給されていると考えられます。

ラトックシステム社が示してくれたバスパワー系のノイズ幅は約0.5μ秒です。step-down DC-DC converterがこのノイズを処理しきれなかったと考えるわけです。

の件について、アップルジャパン社に問い合わせてみました。具体的な回答は得られませんでしが、数日以内に回答を出すことが出来る性格の内容ではないことと、Tell usシステムを利用して、問い合わせをして頂きたいというものでした。

Tell usを利用したことは言うまでもありませんが、マザーボード交換を余儀なくされる重大なトラブルを、放置するのも気持ちの良い物ではありません。

そこで、故障の実例を広く募集し、掲載していくことで問題の風化を防ぎ、適切な対処が行われるのか観察していきたいと考えました。ご協力、どうぞよそしくお願いいたします

みなさまの情報を集計していきます。集計方法はFileMaker Proを使用し、頂いた情報を出来るだけ編集せずに掲載します。ただし、会社名、機種名はスクリプトにより伏せ字にしてあります。

Knowledge Exchangeの書き込みより連絡を取り桝屋氏より、対策済みPowerBook G4 Gigabit Ethernetの基板写真を入手することができました。253_ close up modified FireWire Portを観察すると、ESD回路が付加されているようです。これはラトック

システム社が指摘していますが、PowerBook G4 DVIにも250_ 3.3V Step-down DC-DC converter and ESD chipsのように装備されています。

やはりPowerBook G4 DVIよりも前の機種にESD保護回路が付いていないのはAppleの設計の不備によるものなのでしょうか。棉乃木氏から次のような指摘を受けました。「高速インタフェース用低容量ESD保護素子の発売」を読むと、ごく最近までチップ自体が入手困難であったのではないかというのです。

FireWireなどの高速シリアルインターフェースに必要とされるESDチップのダイオードの性能はシビアな物で、例えばESD Protection IEEE 1394 Data Lines(PDF)を読むと、端子間容量が3pFならば波型の乱れは最小限ですむようです。しかし、IEEE 1394bでは更に容量の小さなものが求められるでしょう。

た、ラトックシステム社が指


摘してる、FireWire PHYの電源回路とバスパワーが分離されていないことは設計不備で、特殊ものなのでしょうか。自己復帰型ヒューズの実装を説明したUSB & IEEE 1394 Circuit Protection Solutions(PDF)の5ページ目をみると、本体側インターフェース回路として、バスパワーとPHY用低電圧回路(V Reg)が分離されていない回路が標準的な実装例として記載されています。

故障事例を見ると、バスパワータイプの外部機器を接続した場合に故障する事例

が圧倒的多数を示しています。設計不良とは言えないかもしれませんが、電源供給回路の特性とESD保護素子の不在が故障原因の大部分を占めていると考えられます。

また、繰り返し故障しているユーザーがある程度いることから、外部FireWire機器個体の中に、とくに故障しやすいものがあると考えられます。

バスパワーの使用を控えれば故障の確率を下げることが出来るでしょう。ESD保護回路を装備しないPowerBook G4 Gigabit Ethernet以前は特に注意が必要です。必ずしも設計の不備とは言えないと考えられることから、保証期間外の場合は5万円程度の高額な修理費用を請求されるでしょう。ESD保護ドングルなどの発売が望まれます。

追記

故障の原因がFireWire PHYの破損であることを確認された方からメールが届きました。氏は故障したiBook Dual USBのLogic Board上のFireWire PHY (TSB41AB1)をdigiKeyで購入し、ご自分で取り替えたそうです。その後再びFireWireが使用できるようになったそうです。

氏は一度故障し以前はLogic Boardを有償修理され、バスパワーを利用せず注意して使用していたそうですが、非バスパワー機器で故障が再発、修理に踏み切ったとのこと。部品価格はLogic Board交換よりはるかに

安価であったものの、手作業でのチップの交換には相当なスキルが必要であるため、一般的な解決方法とはいえませんが、現在でも引き続き故障事例のポストが散見されるため、お知らせすることにいたしました。

また、ジャンクボードからの交換を試された方からも連絡をいただきました。

謝辞

何度も撮影してくださいました
桝屋様

RIKIBON FREEDOM SPACE (Clamshell Clubのみなさま)

そして、正常・故障事例をポストして頂いた多くのみなさま、そして電子回路についての数々のアドバイスをしてくださった皆様方。

本当にありがとうございます。引き続きご協力よろしくお願い申し上げます。

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Written/Edited by Y.Yamamoto M.D.
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