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![]() C.O.D. Bar NERV改め、Shot Bar LiBRi、起動!。 3/Apr 2000 OPEN キーワードは「書斎」 座標は北緯35。43'47.46" 東経139。43'49.89" 地上14m
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〜EUNOS COSMO〜(不定期自動車シリーズ) バブル崩壊の序曲、ある日の日経新聞が今でも思い出される。株価が下がりはじめ、土地神話に陰りが見え始めた頃、「バブル崩壊」という言葉と共に、実際の数字として現れた最初の記事。それがユーノスコスモの生産目標台数の下方修正というものだった。その後のマツダ自動車の凋落は記憶に新しい。
当時セルシオの木目パネルの制作で天童木工が手一杯であったため、ヨーロッパの工房にメーターパネルを発注した。もともと飛行機の部材を作っていたその工房は、天然木材にこだわり非彩色系の木目パネルをメーターパネルに配した。総革張りの内装も日本の一流メーカーはセルシオやインフィニティといったバブル車の為に手一杯で、これまたヨーロッパの家具メーカーに作らせた。手触りは最高である。しっとりと軟らかい革。しかし、耐久性には疑問があり、運転するにはホールディングしない、あくまでも快適な家具であり、自動車のシートではない。フロントガラスに真っ白な革張りの内装が写り込み、視認性が悪い。マセラティビトルボじゃないのだからねぇ、とヨーロッパ車通に笑われた。 フロントサスペンションはマルチリンク、リアは世にも珍しいツインショックアブソーバーを搭載したダブルウィッシュボーンベースのマルチリンク。快適性と運動性を両立したというが、ブリズトンのレグノシリーズと相まって、ふわふわで無責任なハンドリングであった。踏めば踏むほどハンドルインフォメーションが消失するのだ。 プアなタイヤ、ショートデッキロングノーズのプロポーション、無駄な内装、どれをとっても誉められない車なのだが、他にないものがそこにあった。3ローターシーケンシャルツインターボと油圧ブースターによるブレーキシステムだ。当時の多くの車(今でもそうだが)ブレーキブースターはエンジンの陰圧を利用する。しかし、大容量ターボ車は陰圧がなかなかとれない。特にアンチロックブレーキシステムを搭載する大容量ターボ車はブレーキブースター内部のエネルギーをあっさり使い切り、ノンアシストでフルブレーキをしなくてはならない場面が多々あった。それに比べ、油圧コンプレッサーをエンジン回転から得るコスモのシステムはいつでも有効なアシストを期待できたし、ブレーキインフォメーションがダイレクトに右足に戻ってきた。とても細かいブレーキが出来るのだ。このフィーリングに対比できるのは唯一、ダイムラーベンツのSクラスが搭載する、ブレーキシステムぐらいだろう。 そうしてみると、あの長いボンネットの下には分厚いインタークーラーや、補気類ばかりがあり、肝心なエンジンは小さく、低く、後ろに搭載されている。見た目より鼻は軽いのだ。そしてそのエンジンが特筆すべきだ。アイドリングはちょっと駄目。静かだけどブルブルしている。大きなおにぎりが3つも回っているのだから当たり前か。しかし、それは違う。アイドリング燃費を抑えるために無理に下げたアイドリング回転数が悪いのだ。700回転から7000回転まで、回った瞬間にエンジンは静寂を手に入れる。エンジンマウントの上で、まるで陳列されているがごとく静止したエンジンは、その内部で実に超遠心分離器のごとく回転しているのだ。 これは負荷が掛かっていても同じ。そして、不思議なターボシステムがさらに未知の時空へ誘う。2400回転で一旦サージ状態へ持っていかれる一つ目のターボは圧負荷が解放され、短時間であるが空回りを始める、それと同時に今まで止まっていたセカンダリーターボへ排ガスが導かれる。圧縮という仕事から解放された排ガスは二つのターボフィンを回すだけが仕事になる。そして極短い時間で2700回転に達したエンジンは、二つのターボで圧縮された多量の空気と一緒に、これまた莫大な量のガソリンを吸い込み、燃焼する。1500回転で既に30Kgのトルク発生するエンジンは2000回転からずっと40Kgを出している。 販売カタログを見ると、5500回転ぐらいから不自然にこのトルクカーブが下がり、最終的に280馬力の出力に帳尻をあわせているのだが、乗っている人間はまったくこの変なグラフを信用しないだろう。トルクは下がらないのだ。7000回転まで一気にふける。燃料カットがくるまで天井をしらない。オートマミッションと組み合わせたその加速は、NSXよりも確実に上なのだ。 ただし、運転は生やさしいものではない。もしあなたが雨の日にコスモを運転する機会があったなら、すぐに判るだろう。発進できないのだ。雨の日に走らせるにはこつがいる。まず、ブレーキから足を離し、ワンテンポ待つ。クリープで車が動き出してから、少しアクセルに靴を載せる。このとき間違ってもアクセルを踏んではならない。つま先を載せる程度にしなくては、まっているのは前に進まず、横に移動する車とむなしく上昇するエンジン回転計の針だけだ。 当然走行中も同じ注意が必要だ。駐車車両をよけるために、併走しているタクシーの前に出るとき、スリックカート場での練習が役立つだろう。 晴れの日も注意が必要だ。外気温が低いときは特に要注意。インタークーラーがしかっり冷えたりなんかすると、セカンダリーターボに切り替わってから、リアタイヤが悲鳴を上げ始めるのに気付くかも知れない。おっと、カーブではやらないことをお奨めしよう。 もしあなたがコスモを手に入れることが出来たら、2つ用意して欲しいものがある。1000Kごとに1リッター消費するエンジンオイルと、70リッターのハイオクガソリンで200Kmしかはしれないので、ガソリンスタンドの地図を。 |
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Medical macintosh (c) 1998,1999,2000,2001,2002 Written/Edited by Y.Yamamoto M.D. ご自由にリンクして下さい。トップページへのリンクも併記して頂けるとありがたいです。 |
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