Medical Aug 9 2008

HiPER 2.0: Foundation

基礎構造

 

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電子カルテシステムに課せられた使命として診療録の保存がある。診療録は診療の経緯を余すこと無く記録されなければならない。そのため、未確定な情報が時系列で幾度となく保存されていく。そこにオーダーリング情報が織り込まれていくが、その多くが計画を含むため実施情報が入力されるまで正確とはいえない。しかも実施情報ですら、そのすべてが入力されているとは限らず、種類によっては入力率が低い。

 

医療現場では、システムへの入力作業よりも医療が優先されるのは当然である。しかし医療安全の立場からシステムの操作が医療と同様に優先される場合もある。このことが、電子カルテ内の情報の確度をばらつかせ、複雑にしている。

 

医療をシステムに取り込み、クラウドコンピューティングという発想で取り扱うには、以上を考慮しなければならない。個々の情報を鵜呑みに出来ないという問題があるのだ。

Rebuilding

サーバ内に保存されている情報やクライアントが利用する情報、そして送信した情報を分け隔てなく活用する。それを実現するには従来のサーバアンドクライアント方式の電子カルテのインフラだけでは難しい。これは、医療現場における電子カルテシステムの利用形態によるものであり、正確性のことなる情報が単純に蓄積されているサーバを単純に信用できないからだ。

 

クラウドコンピューティングを実現すための下準備として、HiPERシステムは電子カルテ情報のRebuildを行った。情報の質を運用に照らし合わせ吟味した。蓄積した情報と比較し修正も行ったのだ。

 

電子カルテには証拠能力が求められる。したがって入力されたまま確実に保存することが求められている。従って、電子カルテ内部で情報が矛盾すると検知されても、それを修正せずそのまま保存し表示することが求められる。システム全体は大規模で非常に高価であり、プログラムの修正が困難なことも原因の一つだ。医療が日進月歩で変化していくことにシステムが追従できない、一度リリースしたプログラムを安易に修正することは現場の混乱を生む場合もある。

 

HiPERシステムが行うRebuildは、電子カルテシステムでは許されないことであり、未着手といってもいい。しかし、HiPERシステムは電子カルテのネットを模倣し、そこにRebuildを加えることでより実世界に近い医療情報システムを構築したのだ。

Installation

電子カルテサーバとは別に構築されたHiPERシステムとの接続はどうなっているのか。サーバへのデータ問い合わせは全く行っていない。電子カルテサーバ内部で情報の更新が発生した場合、そのすべてのトラフィックを即座に受信し、HiPER内部に適応する。

 

電子カルテサーバに蓄積される情報をHiPER内部に再構築している。データの収容には複数のクラスタが利用され、並列化とパイプライン化し、複雑なRebuild作業を実現している。Rebuildプログラムは実際の運用にあわせチューニングされ、より正確な情報を蓄積するしくみとなっている。