macintosh
Vol.97
5/Jun 2002
iBook 16 VRAM

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241_ iBook 700/14.1 (16 VRAM)
241_ iBook 700/14.1 (16 VRAM)

iBookとしては、初めて512 KbyteのL2キャッシュを搭載した。これはPowerPCとして最大のembeddedなL2容量を誇るPowerPC 750FXが搭載されたからである。

パイプラインステージが浅く、SOI、Low-K、0.13μmという最新の製造技術を惜しみなく投入した750FXの採用した。HydraVisionをサポートするPowerBook G4 Gigabit Ethernetと同じATi Mobility RADEONになり、16メガバイトのDDR DRAMがコアに組み込まれている。PowerBook G4よりも消費電力あたりの性能は上だろう。

DVIによるマルチモニタの有無など、決定的な差があるとはいえ、十分な性能を持ち価格が半分のiBookをPowerBookと比較してみることにする。

242_ Cache, memory bus, system bus and AGP performance chart

242_ Cache, memory bus, system bus and AGP performance chart

上半分はPowerBook G4 DVIのArchitecture Block Diagramで、下半分がiBook 16 VRAM。図中に示したのはL1,L2,L3キャッシュとmemory Busの転送速度をCacheMark 1.7で測定した結果と、Macbench 3.0でメモリーGPU及びCPU-GPU間のデータ転送速度を測定した結果を示した。

メモリーGPU及びCPU-GPU間のデータ転送速度はMacbench 3.0のcopybitテストにおいて、転送する画像容量を変更し行った。PowerPC 750FXのL2、あるいはPowerBook G4 667 Gigabit Ethernetの7451のL2、PowerBook G4 800 DVIの7455のL2

、いずれにも格納できる容量として、約22キロバイトの画像を選択した。また、PowerBook G4 800 DVIのL3キャッシュにも格納出来ない1.1メガバイトの画像を用意し、同様の測定を行った。

結果は、L1領域では3倍、メモリバス領域でも2倍、PowerBookが優れていた。GPUへの転送速度も、同じATi Mobility RADEONを搭載する667 Gigabit Ethernetと比較しても、CPU-GPU間で1.5倍、メモリ-GPU間では1.7倍、PowerBookが優れた結果を得た。

(注)カタログスペックなどに、iBookのハードディスクインターフェースはATA 66ととれる部分もあるが、実測結果は30 Mbyte/秒をピークとするATA 33相当であった。

243_ Cache and bus improvements increase performance

243_ Cache and bus improvements increase performance

750FXでは、それまでG3 CPUが抱えていたキャッシュミス直後の2度目のメモリアクセス時のパイプラインストールが改善されているという。(Miss-under-miss L1 data cacheのサポート)また、60xバスインターフェースのパイプライン処理が加わり、パフォーマンスがアップしたとされる。

PowerPC 750FXで強化されたL2及びBus Interface周りを実測するためにメモリ転送速度を調査した。

測定方法は700 MHz、FSB 100MHzのPowerPC 750FX のメモリ転送速度を実測し、PowerPC 750CXの500 MHz、FSB 66MHzのiBookの実測値にコア領域は1.4倍、バス領域を1.5倍にしたものを比較した。

また、参考のためCacheMark 1.7が影響を受けるAltiVecを無効化し、66MHz の60xバスに接続したPowerPC 7410 500 MHzの結果を示す。

244_ 750FX with "low-k dielectric" SiLKTM

IBMはいち早く量産ラインにLow-k層間絶縁膜技術を使用することを発表した。これはCPUのパフォーマンスを阻害し、電力を浪費する配線間の「クロストーク(混線)」を減少させる。このLow-k層間絶縁膜としてDow社のSiLKの採用を伝えていた。Cu-11の発売から2年弱経過し、コンシューマ用PowerPCにSiLKが初めて使用された。

この画像はIBM Microelectronics のWeb Contents Ownerの許諾を得て掲載するものです。

0244_ 750FX with "low-k dielectric" SiLKTM
245_ Instruction Flow Diagram of PPC7455

246_ Instruction Flow Diagram of PPC750FX

245_ Instruction Flow Diagram of PPC7455

2段階のFetch、11個の並列する実行ユニットを持つPowerPC 7455の命令実行の流れ。単純な演算と複雑な演算のパイプラインレイテンシが異なるため、Dispatchユニットの命令配分やバッファーが複雑な物になっている。処理能力や消費電力を考えると、必ずしも複雑な物が優れているとは限らない。

246_ Instruction Flow Diagram of PPC750FX

基本的にPowerPC G3と同じ流れの750FXのInstruction Flow。パイプライン段数も変化なし。ただし、FPUのReservation Stationが強化されている。

全体に単純で、パイプライン段数も浅いままだが、1 GHzのラインナップまであるPPC750FXは優れたCPUと言えるだろう。

247_ 7455/800 MHz vs. 750FX/700 Mhz, Stages of execution units


iBookに最新製造技術を惜しみなく投入したPowerPC 750FXが採用されました。0.13μm、SOI,SiLKの採用はPentium4Mに追いついたというよりも、超えたと言っても嘘ではないでしょう。700 MHz時の消費電力は3W台前半、Busインターフェースのパイプラインが強化され、L2キャッシュメモリの容量が750CXeの倍で、L1ーL2間、L2ーBIUのバッファーが強化されパイプラインストールが減っているなど、G3が持っていた弱点が強化されています。この最新PowerPCを搭載したiBookの登場は、PowerBookユーザーにも気になるところでしょう。その実力に迫りたいと思います。

242_ Cache, memory bus, system bus and AGP performance chartは、もっとも基本的なベンチマークテストを行い、cacheや各種バスの能力を測定した結果を示しました。この測定方法を用いるとcacheに関してはL1領域で3倍、L2領域でも3倍弱、メモリバス領域は2倍、PowerBookが優れていました。GPUへの転送能力も、同じATi Mobility RADEONを搭載する667 Gigabit Ethernetと比較して、CPU-GPU間で1.5倍、メモリ-GPU間では1.7倍、PowerBookが優れた結果を示しました。

CPU内部のメモリ転送能力はAltiVecの有無に影響され、G4にあるL1とLSU(Load Store Unit)の間にあるLFQやBuffer群が優れた結果を生んだと考えられます。CPU-GPUの転送能力を見ると、2×AGPは早期に飽和しています。memory bus能力には倍以上の差が認められ、メモリアクセスとGPUアクセスが集中するsystem busの能力は、PowerBookの半分程度しかありません。60xバスインターフェースのパイプライン処理が強化された750FXのバス能力が向上していないのはどうしてなのでしょうか。

238_ Cache and bus improvements increase performanceに示したのはiBook DUAL USBの750CXの結果を基にしています。500 MHz、66MHzのFSBのiBookはコアクロック倍率がiBook 700に類似するため選択しました。計測結果をそれぞれクロック上昇分補正し、示してあります。こうしてみると僅かではありますが、L2キャッシュの性能向上が認められます。これはL1-L2キャッシュ間のバッファー増強によるHit under Missの改善が、少しだけ表にでたのではないでしょうか。しかし、512キロバイトに増加したはずのL2キャッシュや、パイプラインが強化された

60xバスインターフェースのパフォーマンスアップは認められません。ここで、AltiVecを無効化し、66MHzの60xバスに接続した500 MHzのPowerPC 7410の結果を示しました。測定にはBlueChip G4 500 MHzを使用しています。クロック数が30%劣っていて、L2キャッシュ駆動周波数は65%低い速度であるにもかかわらず、性能的には大差ありません。memory bus能力こそクロック相当低いものでしたが、全体に良い結果と言えるでしょう。

PowerPC G4のMPXバスインターフェースには例外処理などの最適化機構があり、低いFSBでの効率化を目指しているのに対し、750FXは高いsystem busで動くことを前提に設計されているようです。こうしてみるとiBookのSystem Busが100MHzなのは、役不足と言えます。他にも、内部PCIバスのWrite combine機構は未実装であり、ハードディスクインターフェースも実測値ではATA 33のままでした。

う一度750FXというCPUに目を向けてみましょう。より低い電圧で確実なスイッチングを行い、より微細な配線でもクロストークを減らす技術として、SOIとLow-k層間絶縁膜技術を採用、0.13μの銅配線を用いた750FXは、CPU量産技術の最先端です。


また34.6mm2の面積に3900万トランジスタが集積されていますが、PPC 7455の106mm2に3300万トランジスタという値と比較するといかに集積度が高いかわかるでしょう。最先端の集積技術は同時に低消費電力も実現しました。700 MHzでも3w台前半という値は、PowerBook G4 800 DVIに搭載される、XPC7455RX800WCの15Wと比較すると実に4分の1以下です。

もう一つ魅力があります。それはパイプラインの短さです。245_ Instruction Flow Diagram of PPC7455にPowerBook G4で使用されているPowerPC 7455の命令実行の流れを示しました。それと比較すると246_ Instruction Flow Diagram of PPC750FXはパイプラインが短く、投機的実行によるペナルティが少なくすみます。一般にパイプラインが浅いと、CPUのクロック上昇に不利であるとされていますが、1 GHzを念頭に開発された750FXは、その消費電力の小ささから、十分魅力的なチップといえるでしょう。

247_ 7455/800 MHz vs. 750FX/700 Mhz, Stages of execution unitsには、800 MHzのPPC7455と、700 MHzの750FXの命令種類ごとのレイテンシをわかりやすく並べてみました。750FXは命令間のレイテンシの差が小さく、浮動小数点演算部分のReservation stationが強化され、パイプラインストールを減らしています。

iBookは確かにPowerBookと比較すると妥協があるのは確かです。しかし、性能と比較すると発熱が小さくバッテリー駆動時間も長くなっています。またAltiVecが関与しない処理に関しては十分高性能です。たとえばCinebench 2000による計測結果は、softwareシェーディングでPowerBook G4 DVI 800の86%、OpenGLシェーディングは81%、レイトレーシングは95%の性能を発揮しました。

ATA 33のまま据え置かれたことは、8メガバイト以上のバッファーを搭載するハードディスクが入手できるようになった

今、残念としか言いようがありませんがPowerBookが最高性能にこだわり、発熱やバッテリー持続時間などに不満を残したのに対し、iBookはそうしたスペック上のこだわりを無くし、必要十分な性能を確保した上で、価格を含めバランスのよい構成になっていると思います。

裏返せばiBookがあるからこそ、PowerBookは機能、性能で冒険が出来る、新しいインターフェースはiBookよりもPowerBookから採用されていくのでは無いでしょうか。今日から利用可能になったMacOS X 10.1.5はPHSカードが利用できます。PCMCIAインターフェースがMacOS XでもアドバンテージとしてPowerBookに残されたと考えられます。

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Written/Edited by Y.Yamamoto M.D.
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