macintosh
Vol.85
20/Oct 2001

7410 vs. 7450

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179_ Pipeline Burst SRAM and BCM5221
179_ Pipeline Burst SRAM and BCM5221

PowerPC 603ベースのPowerPC G3が飛躍的性能向上を見せたのは、このPipeline Burst SRAMのおかげである。それまでMemory controllerが行っていたL2キャッシュコントロールを、CPUが独自に行うだけではなく、Tagメモリ領域をCPU内部に持ち、専用のキャッシュバスを持ったため、早くなった。

今回のPowerBook G4のアップデートではこのキャッシュバスとPipeline Burst SRAMがなくなった。CPUの内部に内蔵したためだ。しかしその容量は256キロバイトに過ぎず、先日発表されたPPC750FXの512キロバイトの半分である。

Ethernet PHYは1000 Base-Tへと進化した。さて、Uni-North ICは追従できるのか。

180_ PowerBook G4 Gigabit Ethernet block Diagram

180_ PowerBook G4 Gigabit Ethernet block Diagram

マイナーチェンジ、もしくはクロックアップモデルとするには多岐にわたる変更点がみられる。特にFSBを133MHzにアップすると同時に、4×AGPの採用とRadeon Mobilityの搭載を行ったことは評価できる。1000 Base-Tを採用したことは、ノートブックへの移行をためらっていたユーザーの背中を押すだろう。

ほかにもTumbler AudioやPCMCIAブリッジのアップデートがある。

181_Instruction Flow Diagram of PPC7410

キャッシュの小さくなり、パイプライン段数が深くなったPowerPC 7440に不安を覚えるユーザが少なくない。今回Instruction Flow Diagramを紹介すととともに、パイプラインについて考えたい。図はPowerPC 7410すなわちPowerBook G4 Titaniumに搭載されたもの。

181_Instruction Flow Diagram of PPC7410
182_Instruction Flow Diagram of PPC7450

図は同じくPowerBook G4 Gigabit Ethernetに搭載されたPowerPC 7440*1もInstruction Flow Diagramである。

段数が増え、またFinishと呼ばれるムダにも思えるサイクルが必要である。しかし、できるだけ多くの命令をよどみなく、並列処理するためにReservation Stationと呼ばれる命令保持部分が補強され、もっとも使用頻度の高い整数演算部分が2列から3列に増強されている。Pentium 4に比べれば、間口の広さを感じるだろう。

*1 28/Oct その後、PowerBook G4 Gigabit Ethernetに搭載されたのはPowerPC 7451であることがわかりました。訂正いたします。

182_Instruction Flow Diagram of PPC7450
183_ 7440/667MHz vs. 7410/500Mhz, Stages of execution units *1

PowerBook G4 Gigabit Ethernetが発表されました。外観の変化がなく、お得意の基調講演でのパフォーマンスもないまま静かに発表された割には、各方面で評価が高いようです。

一番期待できるのは133MHzのMPX Busと4×AGP接続されたRadeon Mobilityで、それだけで購入を決めた人もいるようです。その反面、L3キャッシュインターフェースのないPowerPC 7440*1に不安を覚える方もすくなくありません。そこで、簡単にPowerPC 7410とPowerPC 7440のパイプラインについてふれてみたいと思います。

181_ Instruction Flow Diagram of PPC7410は命令が読み込まれてから、結果が得られるまでの流れを図にしたものです。まずFetchで取り込まれた命令は、一度に2個、分岐命令を入れれば3個がDispatchユニットに流れ込みます。Dispatchは、命令を分類し適切なパイプラインに放り込みます。パイプラインの長さはまちまちですので、結果をそろえて整える部分がComplication Queueとなります。

図中の赤い色で示したユニットは実行ユニットであり、メモリの出し入れを主に

処理するLSU、比較的簡単な整数演算を行うIU、かけ算やわり算、一部の特殊な演算など時間がかかるものを処理するSRU、浮動小数点演算を行うFPU、Altivecの処理をするVPUや、その整数演算部分であるVSIC、処理時間のかかるVCIUと浮動小数点をあつかうVFPUがあります。これら9本のパイプラインが並列して、処理が行われいます。

これに対し、182_ Instruction Flow Diagram of PPC7440は、処理の段階が増えています。Dispatchのあとにパイプラインへの投入を最適化するQueueが加えられています。また、処理時間に時間のかかるSRUはIU4(原著ではIU2)に置き換わりますが、3倍の長さに増加しています。同様に浮動小数点も3段から5段に増加しています。また、Finishと呼ばれる後処理が加わることで、これまで一段で済んでいたAltivecの整数演算処理が2段になってしまいました。

いったんパイプラインが埋まれば、クロックにあわせて回答が得られますが、分岐命令や演算結果によっては、はじめからやり直す必要がでてきます。こうしたことから、パイプラインの段数が増えてレイテンシ(処理が始まってから

結果が得られるまでの待ち時間)が増加してしまうと、パフォーマンスが落ちます。7440ではより早い動作クロックを目指すため、複雑な処理にはパイプラインの段数を増やして対応するという設計になっています。そのためパイプライン間のレイテンシの差が開いたための対処が随所にみられます。

それでは実際のレイテンシを比較するにはどうしたらよいのでしょうか。PowerMac G4 733 Quick silverとPowerMac G4 533 Digital Audioの比較をすればよいかもしれません。そうすればL2キャッシュの容量による違いも比較できてより実際に近いでしょう。

あえてここでは、実レイテンシを比較してみることにします。183_ 7440/667MHz vs. 7410/500Mhz, Stages of execution units*1には、クロック周波数の違いを考慮した上で、作図してあります。

単純な整数演算部分でさえ500MHzのPowerPC 7410のほうがレイテンシは短くなることがわかると思います。


Altivec以外のすべての処理でレイテンシの絶対時間が増加しています。特に整数の乗除算に使用されるIU4と浮動小数点演算を行うFPUの悪化が目に付きます。IU4に関しては、実際の差はわずかでが、浮動小数点演算には影響があるでしょう。

整数演算に関しては同時に3つの処理ができるようにDispatchユニットが増強され、パイプラインも増加したので、大きなデメリットにはならないはずです。

単調な繰り返し演算を主体とするベンチマークテストでは、パイプラインがきれいに動作し、クロック周波数の上昇分の性能アップがあるような結果がでるでしょう。しかし、アプリケーションを操作すると、思ったほどの性能増加が感じられないかもしれません。

また、倍速化したL2キャッシュクロックもその容量の不足が心配されます。

もちろん、体感速度に大きく影響するグラフィックアクセラレーターの処理速度の倍増が予想されるため、大変快適でパワフルなPowerBookに仕上がっていることでしょう。しかし、PowerPC 7440の実力を発揮するには800MHz以上がほしいところです。

1GHzのクロック数と512キロバイトの内蔵L2キャッシュを搭載し、短めのパイプラインと200MHzのFSBを実現しつつ、800MHzで3.6Wしか消費しないという750FXが発表されました。SOIとSiLKと0.13μmルールという生産技術でPowerPC 7440を作り直してPowerBook G4 1000を待ち望むばかりです。

NEW*1 28/Oct その後、PowerBook G4 Gigabit Ethernetに搭載されたのはPowerPC 7451であることがわかりました。PowerPC 7451はPowerPC 7450のマイナーアップグレードバージョンとされています。実行ユニットの構成やパイプライン構成に7440や7550と違いはありません。またL3キャッシュも搭載されていないため、性能的には7440と同じとなります。本文中の表記は搭載チップの名称のみ読み替えていただければ、問題ありません。

FAQ BBSのかき込みより

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