29/Jan 2003
Influenza
インフルエンザが大流行しています。皆さんは大丈夫ですか?私の勤務する病院でも毎日たくさんの患者様が押し寄せています。ところが、インフルエンザ検査キットも薬も全国的に不足しているという状況です。検査ができない、薬がないというお粗末な状況なのです。

インフルエンザの薬、ノイラミダーゼ阻害剤には吸入タイプのリレンザ、そして内服薬のタミフルがあります。A型だけに効果があるアマンタジン(シンメトレル)もありますが、小児の場合幻覚を見たり、変なことをしゃべり出したり暴れたりする副作用が、投与した最初の1〜2日によくおこって困ってしまいます。

副作用の少ないタミフル(ノイラミダーゼ阻害剤)でインフルエンザを治療したとします。約24時間から36時間程度で解熱し大変元気になります。ただ、これは見かけだけなのです。たとえば内服して3日目、2日前からまったく熱はなく症状もない子供にインフルエンザの検査をするとしっかり陽性になります。これはノイラミダーゼ阻害剤がインフルエンザの増殖(発芽)を押さえるだけで、インフルエンザウイルス自体を破壊する能力がないからです。

ここで困ったことがあるのです。性能の良い薬を出された子供は、3日程度薬を飲むと元気になり保育園に行くひとも出てくるのでないでしょうか。すると健常保菌者となり、ウイルスをまき散らしてしまうでしょう。元気なだけに行動範囲も広く大変です。

インフルエンザにかかった患者様を観察すると、熱が出て5日目から7日目の間にわずかに発熱する人がいます。これは平熱よりも少し高い程度で、36度8分とか37度1分とか発熱とはいえない程度のものです。私はこの微熱が重要と考えます。この微熱が出て2日ほどすると、ほんとうにインフルエンザが治癒したといえるのではないでしょうか。

これはウイルス発芽に伴う全身播種時期に高熱が出て発症し、ノイラミダーゼ阻害剤で増殖を阻害され、一見症状がなくなったあと、インフルエンザウイルスを免疫系が認識し液性免疫が賦活化したときに微熱が出るのではないかと考えたからです。

タミフルで治療した患者様の隔離を解除するために、投与終了翌日にインフルエンザ抗原検査を行ったことがあります。罹患6日目でもしっかりインフルエンザ陽性でした。ちょうどそのころは鼻水がでたり、咳が出たりと症状もそれなりにあります。

これはウイルスが生き残るために獲得した能力でしょう。少し元気になったときにホストに自分を散布するように働きかけている。そのように思えてなりません。

水痘(水疱瘡)を治療するときに、抗ウイルス薬(ゾビラックス)を使うときがあります。抗ウイルス薬を使用すると化膿するほどこじらせる水疱が少なくなるといわれています。ただ、抗ウイルス薬を使うと普通よりも少し早く解熱して本人は楽ですが、水疱が良くなる期間は逆に長くなります。

インフルエンザもノイラミニダーゼ阻害剤を使うと、薬を使わないよりも1〜2日長く治癒するまで時間がかかるように感じます。

インフルエンザの治療はノイラミニダーゼ阻害剤の出現で画期的に進歩しましたが、それによる弊害がここにきて噴出しているのではないかと感じます。私は、ノイラミニダーゼ阻害剤で治療も行っていますが、その前にインフルエンザ予防注射がもっと重要であるとして、皆さまにお勧めしています。特にインフルエンザの免疫を持っていないのは20代から40代の私たちの年齢層です。ノイラミニダーゼ阻害剤抵抗性インフルエンザが流行する前に、是非ワクチンを見直すべきではないでしょうか。

PowerMacがクロックアップされて発売されました。中身を見るとまだL2キャッシュ容量が256キロバイト。ようするに改良版7455が使われていて0.13μmの7457ではないようです。0.18μmの古いFABで作ったPowerPCをクロックアップして搭載してお茶を濁したのではないでしょうか。

確かに、ポート類、特にAirMac Extremeへの対応やBluetooth、FireWire 800などPowerBook G4 17inchと同等のI/Oの搭載は、していますが。でも肝心のCPUが進歩しません。キャッシュもフラグシップのみL3 2Mbyte×2ですが、ほかのモデルはL3が1メガバイトに押さえられています。

このキャッシュ容量は結構重要だと思います。PowerPCはFSBが167メガヘルツとIntel系のチップセットと比較すると大変プアで、せっかくのPC2700メモリも性能を発揮できません。その埋め合わせをしているのがDDRで250メガヘルツ(500メガヘルツ相当)のL3キャッシュバスです。アドレスバスが分離されていてPowerPCがそれなりに性能を発揮するためにははずすことができないものです。

逆にPowerPC G4がフル稼働するためにはL3キャッシュをたくさん搭載すればよいのですが、発熱もすごいことになります。PowerPCアーキテクチャはショートステージのパイプラインを並列にたくさん並べて、ディスパッチユニットを単純化し、投機的実行による無駄な電力を極力使用しないため発熱が押さえられています。この方法では高速化の限界があるため、PowerPC 970では非常に複雑なディスパッチユニットを搭載し、とても長いパイプラインに命令を分解してばらまくというペンティアムに似たアーキテクチャになっているといいます。しかし、効率よく動かすとそれなりに発熱します。突発的発熱を押さえるためにはスピードリミッターをつければ良いということになります。PowerPCの場合、L3キャッシュを減らす、もしくは装備しなければ、お行儀の良いCPUになります。

そうです、PowerBook G4 12inchがL3キャッシュと搭載しない理由は差別化だけではないかもしれません。最大発熱量を考えるとL3キャッシュを搭載したくても詰めなかったと考えられはしないでしょうか。

何がショックだったかといえば、20万円も値下がりしたCinema HDです・・・この綺麗で広くて明るいモニターが25万円を切ったということは、ベストバイではないでしょうか。それにしても、2ヶ月前に購入した私がショックなのですから、先週Cinema HDを買った人は・・・・それは別として、値下がりしたCinema HDはお勧めです!

23/Jan 2003
Keynote
昨日、福山通運がKeynoteを届けてくれました。確かにキューブが回転するトランザクションは「派手」ですが、あまり眺めているとよってしまいました。

Quartz extreme全開の派手な演出や、iDVDににたセンスの良いテーマが目立ちます。一方、基本機能はしっかり押さえられているようです。

PowerPointのファイルの読み書きが出来る?本当にうまくいくのでしょうか。結果は「60点」。日本語フォントと文字ボックスの大きさがあわず、調節しなければ文字が全部表示されません。アニメーション設定したグラフィックが一部表示されないとか。完全な互換性は望めませんでした。

ただし、グラフや矢印、図形といったパーツのクオリティはすばらしく、PowerPointはその足下にも及びません。陰属性ひとつとっても、自然で穏やかな「Quartz」の陰がつきます。アニメーションも、PowerPointよりも種類は少ないのですが、実際に利用するのは限られていますから特に不足しているとは感じませんでした。

文字や図形、グラフといったパーツを並べるとき、位置決めしやすいようアライメントガイドが表示されますが、この操作性は秀逸です。Adobe系のフローティングメニューを並べる時にたとえられるかもしれません。CADソフトでも同じような機能を持っているものがありますが、Keynoteのそれはずっと洗練されていました。

最近、学会発表でもコンピュータプレゼンテーションが一般的になってきましたが、WindowsのPowerPointのみ、と限定されてしまっています。Keynoteがそこへ割り込めるといいのですが。

PowerBook G4 DVIのカーボンフレームの塗装がはげてとても見苦しい状態でした。購入してから数ヶ月で塗装が浮いて、さわるだけでパラパラはがれてしまうのです。あまりにもみすぼらしいため、思い切って修理してもらうことにしました。クイックガレージに依頼すると、対面修理で修理してくれました。トップケースの交換は、ほとんど完全に分解しなければならず、約1時間30分ほどの時間と保証が適応されないため2万6千円ほどの費用がかかりましたが、新品のようにきれいになりました。

8/Jan 2003
New PowerBooks

正直驚きました。この時期にPowerBookの新筐体が二種類も発表されるとは思いもしませんでした。

軽くふれてみることにします。デザインはAppleのサイトを参照していただくことにして、従来のPowerBookから変更された部分に注目してみます。まず、17inchのPowerBookですが当然大きさが異なります。17inchの液晶画面は1440×900ピクセルで、液晶の大きさにあわせ本体は幅39.2cm(+5.1cm)奥行き25.9cm(+1.8cm)、高さ2.6cm(+0cm)と大型化しています。ヒンジ部分がiBookと同様、本体内部に一部切れ込んでいるため最大開口角度に制限がでると思いますが、その分奥行きの増加がわずかになっています。フルキーボードがミニチュアに見えるほどトップケースは広いのですが、カーボン樹脂の枠がなくなったため、さらにその印象が強くなっています。

ヒンジ部分のデザイン変更に伴いインターフェースが左右に配置されました。筐体が大きいため確かに横をのぞき込まなくてはコネクタは目立たないかもしれませんが、むき出しのコネクタは妥協とも思えます。材質はアルミニウムに変更され、無塗装はチタニウムから引き継がれています。PCカードインターフェースは残り、USBインターフェースは左右に一つづつ配されるなど使いかっての改善が図られています。

おもしろい機能として、周りの明るさを認識して液晶の明るさをコントロールするだけでなく、キーボードの縁と文字を暗闇で光らせるというギミックが搭載されています。これまでも、スライドカンファレンスなどでいちいち液晶の明るさを手動で調節していたことを考えると、とても便利な機能だと思います。(バックライト付きキーボードはPCユーザーに自慢できるでしょう(笑)

CPUはPowerPC G4 1GHzに、L3キャッシュ容量も1MBに据え置かれていますが、FSBがおそらく167MHzにアップしているようです。このため、PowerBook G4 1GHz/15inchと比較して30%近いパフォーマンスアップが期待できます。メモリもDDRをサポートし、PC2700対応になりました。これはUni-North 2がPowerBookに搭載されたことを意味しています。同時にATA100にハードディスクインターフェースが更新されていますが、はたしてパフォーマンスが十分ででているかは、実測してみないといけないでしょう。

AirMacは802.11gをサポートしたAirMac ExtremeカードとBluetoothを内蔵しています。新型ベースステーションと組み合わせ54Mbsになっています。また、FireWire 800も新採用されました。ただ、まだ一般的でないのとコネクタ形状の変更があったため従来のFireWireポートも残し二系統搭載されています。AirMac ExtremeベースステーションにはUSB端子が加わり、USBによるプリンター共有機能を実現しました。ネットワーク非対応のプリンターがベースステーションだけでコードレス印刷が可能になったということです。

GPUはNVIDIA GeForce4 440 Goだということです。ATi mobility RADEON 9000との比較がおもしろそうです。GeForce4 440 Goのコアクロックは220MHzということですから、2Dの性能はそれほど変わらないかもしれません。

SuperDriveはDVD-Rの2倍速書き込みが可能になっています。スロットローディングですがスロットの位置が非常にパームレストに近いことから従来のSuperDriveと違うドライブかもしれません。

17inchのPowerBookは持ち運ぶには大きすると思ったのかもしれません、jobsの基調講演は「one more 'little' thing」と続きました。紹介されたのが12inchのPowerBookです。最初は冗談かとも思いましたが、確かに小さなPowerBookが発表されたわけです。27.7×21.9×3.0cm、2.09Kgは、スロットローディングのドライブを含めてですから十分小型であると思います。BTOでスーパードライブも選択できます。867MHzのPowerPC G4、NVIDIA GeForce4 420 Go(32MB)、PC2100のDDRのサポートなど小型でも十分なパフォーマンスを予想させます。PowerBook 2400以来の小型PowerBookの登場は日本ユーザのPowerBookへの回帰を予想させます。

価格は17inchが419800円、12インチが229800円で2月からの販売だそうです。さて、あなたは買いますか?

1/Jan 2003
A Happy New Year
あけましておめでとうございます。

いま新幹線の中からの更新しています。ちょうど上田あたりでしょうか。奥様の実家におじゃまして、とんぼ返りで東京に戻る途中です。というのも、1月2日は当直だからです。

 確かに外来業務は暦通り12月28日までで、新年は1月5日が日曜日であるため1月6日からの診療です。さて、この8連休がお休みかというと、そうでもありません。入院患者さんは年越しを病院で迎えますし、救急外来は24時間年中無休体制です。そこで、交代で勤務をすることになります。1月2日朝9時から翌朝の9時まで24時間勤務です。8連休中に2回ほどこの当直をします。当日と翌日がつぶれますので、4日間は拘束されることになります。しかし、これは例年に比べて大変楽なシフトといえます。

昨年の今頃は、故障者もいて、実質4人の常勤医と数名の非常勤医師でこれを乗り越えなければなりませんでした。昼間は非常勤医師の援助もありましたが、夜間は一人で入院、外来に対応しなくてはならなかったのです。労働基準がどうのという話もありますが、医師の勤務を労働基準に合致させた場合、いまの倍の数の医師を雇用しなければならないでしょう。

 しかし、徐々に体制も変わりつつあります。専修医制度や卒後2年間のローテーションの義務化など、過去のインターン制度が復活する流れがあります。ただ、インターン制度と全く異なるのは研修医の身分保障をしっかり行ったことでしょう。変革が浸透すれば、医師の慢性的な過労働は解消していくのでしょうか。

 元旦からWindows XPを扱わなくてはなりませんでした。義父のパソコンの相談を解決するためです。痛感したのはインターネットを見るためなら、というか、IEを使うだけなら圧倒的にWindowsの方が優れているということでしょう。Webサイトを見るということは、一般的なパソコン利用の大変大きな部分を占めるわけで、パソコンならWindowsという結論も納得がいくわけです。それにしても、今のパソコンはすごいことになっていますね。デスクトップにはボタンがたくさん張り付いていて、見苦しいを通り越して、あきれるばかりです。トラックパッドのタップ機能がデフォルトでONになっているため、デスクトップのボタンは、まるで落とし穴のようにパソコンメーカーのサイトやサービスにつなごうと、罠を張っているようです。

 たしかに.macも巧妙に仕組まれた罠みたいなものですが。まだ、節度をもっています。

あれこれしているうちに、テストメールを出してみることにしました。すると、メールを送るとエラーで送れません 。よく見ると、勝手にPPoEも切断されてしまっています。再度、接続しなおして(そう、接続アプリケーションから接続コマンドを送出しゅなければ、PPoEは機能しない設定がデフォルトなんですね)未送メールを送ると、ほんの一瞬ノートンのダイアログが点滅したかと思うと、エラーになってしまいます。ウイルスチェックプログラムがデフォルトでONになっているのに、ウイルス定義ファイルがダウンロードされていないため、ネットワーク接続を切断しているようなのです。で、ウイルス定義ファイルをダウンロードすると、3ヶ月間の無料使用に同意させられるという仕組みです。こうして、3ヶ月後にはまた、「エラーがでてしまって・」と相談されるでしょう。

 2002年は振り返ると、大変変化のあった一年でした。結果的には最後となってしまったMacworld Expo Tokyoのカンファレンスでの講演やcom-schedulerのリリース、書籍出版、東京ER広尾開設に伴うリアルタイム統計・管制システムの構築など、公私ともに大変忙しく、また有意義であったと思います。2003年は、新しいEBMを目指したオリジナル電子カルテシステムの構築を最大の目標にします。これからもmedical macintoshをよろしくお願いします。

2003年 元旦 

24/Dec 2002
BAR BLADE

さてお店を一つ紹介。これまでBar. LiBLiと同じ場所で、新しい雰囲気を手に入れBar. BLADEが本格的に軌道に乗って営業を開始しています。なじみの顔もまた一人、そしてまた一人と戻って活気が出てきました。

マスターの作る創作スパゲッティが絶品です。一度おためしあれ。

日記とまではいきませんが、気楽に更新できるスペースもあって良いかもしれません。人知れずアップすることにします。

そういえば、本日アップルサービスに電話してみました。0070-800-27753-1です。ヨーヨー型の旧式アダプターのACケーブルから火花と発煙があったという人の代理で電話しました。保証期間ではありませんが、これは在宅修理が可能かどうか、有償か無償かという点だけに絞って質問しました。するとあっさり、(当然でしょうか?)無償在宅修理が可能とのことです。ケース番号をもらって、相談者にアップルサービスに電話するように伝えて一件落着です。

一つためになったのは、この0070という番号、Docomoの携帯電話からも通話料アップル持ちなんですね。電話代がもったいないと思うのは私だけではないでしょう。担当者まで接続する時間は約6分。待っていると長く感じるものですが、それ以上にこの電話料金を負担しているアップルも、いい方法はないものかと悩んでいるかもしれません。ただ、対応は迅速で、非常にスムーズだったので少々驚いてしまいました。(笑)

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2003.2

Medical macintosh (c) 1998,1999,2000,2001,2002, 2003

Written/Edited by Y.Yamamoto M.D.

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